(引用:財産評価基準書|国税庁)
相続税基礎知識に関するコラム
自社株とは、同族会社のオーナー社長やその一族が所有する株式のことをいいます。取引相場のある上場株式は、取引所の株価という客観的な数字で株価を評価することができますが、中小企業のような 上場していない会社の株価を評価する場合、客観的な数値がありません 。この自社株をどのように評価するかというと、国税庁が作成している「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて評価することになります。 非上場株式とは、上場株式以外の株式の総称であり、非上場株式の中でも上場株式に近い規模の大会社から、個人企業並みの小規模会社までその内訳は千差万別であります。よって、非上場株式の評価方法を定める財産評価基本通達では、取引相場のない非上場株式を規模に応じて大会社・中会社・小会社に区分し、区分に応じてそれぞれに即した評価方式を定めています。
非上場株式を贈与や相続で取得した株主が同族株主かそれ以外の株主かによって評価方法が変わってきます。同族株主か否かで会社経営への影響度(支配力)が変わるため、支配力によってその株式を保有している目的も変わってくると考えられるからです。
支配権を有する同族株主が取得する株式の評価は、会社の業績や資産内容等を反映した原則的評価方式(類似業種比準方式、純資産価額方式及びこれらの併用方式)により評価し、同族株主以外の少数株主が取得する株主は特例的評価方式(配当還元方式)により評価することになります。一般的に 特例的評価方式(配当還元方式)による評価の方が株価は低くなる傾向にあります 。
また、評価対象会社が保有している資産の大半が株式・土地等の資産内容が特異な会社、開業間もない会社・休眠会社等の営業状態が特異な会社(特定会社)は、通常の事業活動を前提としている原則的な評価方法は馴染まないため、個別にその評価方法が定められています。
なお、非上場株式を売買する際の売買価格の考え方については、「非上場株式の売買価格ページ」を参照してください。
2.取引相場のない株式等の評価方式の区分
(1)同族株主のいる会社の評価方式
株主の態様 | 評価方式 | |||
同族株主 | 取得後の議決権割合が5%以上の株主 | 原則的評価方式 (類似業種比準方式又は純資産価額方式、若しくはそれらの併用方式) | ||
取得後の議決権割合が5%未満の株主 | 中心的な同族株主がいない場合 | |||
中心的な同族株主がいる場合 | 中心的な同族株主 | |||
役員文は役員予定者 | ||||
その他の株主 | 特例的評価方式 (配当還元方式) | |||
同族株主以外の株主 |
①同族株主とは
②同族関係者とは
③中心的な同族株主とは
(2)同族株主がいない会社の評価方法
株主の態様 | 評価方式 | |||
議決権割合の合計が15%以上の株主グループに属する株主 | 取得後の議決権割合が5%以上の株主 | 原則的評価方式 (類似業種比準方式又は純資産価額方式、若しくはそれらの併用方式) | ||
取得後の議決権割合が5%未満の株主 | 中心的な株主がいない場合 | |||
中心的な株主がいる場合 | 役員又は役員予定者 | |||
その他の株主 | 特例的評価方式 (配当還元方式) | |||
議決権割合の合計が15%未満の株主グループに属する株主 |
①中心的な株主とは
(3)会社規模の区分に応じた評価方式の概要
会社区分や評価方式の詳細な説明は後述しますが、会社規模の区分に応じて評価方式は下記の通りとなります。会社の規模 | 評価方式 | 備考 |
大会社 | 類似業種比準価額 | 純資産価額でもよい |
中会社の大 | 類似業種比準価額×90%+純資産価額×10% | |
中会社の中 | 類似業種比準価額×75%+純資産価額×25% | |
中会社の小 | 類似業種比準価額×60%+純資産価額×40% | |
小会社 | 純資産価額 | 〈類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%〉でもよい |
★類似業種比準方式と純資産価額方式の比較
類似業種比準方式 | 純資産価額方式 |
利益の大きい会社の評価額が高くなる傾向 | 社歴が長く剰余金の大きい会社の評価が高くなる |
上場会社の株価が高いと評価も上がる (外部要因の影響を受ける) | 含み益のある不動産は株式等の資産を所有していると評価が高くなる |
評価額の変動が大きいので対策がしやすい | 価格補正の手法を中心に評価額の変動が小さいので対策が難しい |
3.非上場株式の評価方法
(1)原則的評価方式
①類似業種比準方式
②純資産価額方式
- 例)
- ・土地建物等を課税時期開始前3年以内に取得等した場合の価額は、相続税評価額ではなく、課税時期における通常の取引価額相当額により評価する。
- ・繰延資産等、換金価値のない資産は評価対象としない。
- ・営業権を評価する必要がある。
- ・直前期末日後から課税時期までに確定した剰余金の配当等の金額は負債に計上する。 価格補正の手法を中心に
- ・評価会社が受取る生命保険金等は資産に計上する必要がある。同時に保険金に対する法人税等相当額について負債に計上する。
- ・固定資産税等のうち、課税時期において未払がある場合には負債に計上する。
- ・被相続人の死亡により支給が確定した退職手当金・功労金等は負債に計上する。
★評価減ができる場合とできない場合のまとめ
会社の規模 | 原則 | 納税者の選択 |
大会社 | 類似業種 | 純資産価額【評価減不可】 |
中会社 | 類似業種×L+純資産価額【評価減可】×(1-L) | 純資産価額【評価減不可】×L+純資産価額【評価減可】×(1-L) |
小会社 | 純資産価額【評価減可】 | 類似業種×0.5+純資産価額【評価減可】×0.5 |
(2)例外的評価方式(配当還元方式)
①配当還元方式が適用できる株式
- ア)同族株主のいる会社の同族株主以外の株主が取得した株式
- イ)同族株主のいる会社の同族株主グループに含まれるが、会社支配力の少ない一定の少数株主(一定の役員を除く)として取得した株式
- ウ)同族株主のいない会社の株主の内、議決権割合が15%以上の株主グループがいる場合 で、その株主らが15%以上の株主グループに含まれない株主として取得した株式
- エ)同族株主のいない会社において、議決権割合が15%以上の株主グループがいて、さらにその15%グループの中に中心的な株主がおり、判定する本人が中心的な株主でなく、一定の役員でない場合の株主として取得した株式
③評価方法の選択
4.会社規模の区分
「3.非上場株式の評価方法」に記載の通り、 評価方法は3種類 ありますが、どの評価方法が採用されるかは、会社規模の区分によって判定します。
会社規模の区分の判定を行うのは、上場会社に近い規模の会社については、上場会社の株価を基にした類似業種比准方式により評価し、規模の小さい会社については事業用資産の評価に基づく純資産価額方式による評価が実態に即していると考えられるためです。
「会社規模」は、下の表のように従業員数、総資産価額、取引金額、業種に応じて、大会社、中会社、小会社に区分します。
このうち中会社はさらに、大、中、小に分かれるため、会社規模は5つに区分されます。
この5つの区分によって、評価方式が決まります(以下の図参照)。
なお、従業員数が70人以上であれば、無条件で「大会社」です。
会社の規模 | 総資産価額(帳簿価額) | 従業 員数 | 年間の取引金額 | ||||
卸売業 | 小売・サービス業 | その他の 事業 | 卸売業 | 小売・サービス業 | その他の 事業 | ||
大会社 | - | - | - | 70人 以上 | - | - | - |
大会社 | 20億円 以上 | 15億円 以上 | 15億円 以上 | 35人超 | 30億円 以上 | 20億円 以上 | 15億円 以上 |
中会社(大) | 4億円 以上 | 5億円 以上 | 5億円 以上 | 35人超 | 7億円 以上 | 5億円 以上 | 4億円 以上 |
中会社(中) | 2億円 以上 | 2億5,000万円 以上 | 2億5,000万円 以上 | 20人超 | 3億5,000万円 以上 | 価格補正の手法を中心に 2億5,000万円 以上 | 2億円 以上 |
中会社(小) | 7,000万円 以上 | 4,000万円 以上 | 5,000万円 以上 | 5人超 | 2億円 以上 | 6,000万円 以上 | 8,000万円 以上 |
小会社 | 7,000万円 未満 | 4,000万円 未満 | 5,000万円 未満 | 5人 以下 | 2億円 未満 | 6,000万円 未満 | 8,000万円 未満 |
5.会社規模ごとの評価方法
(1)大会社の評価方法
(2)中会社の評価方法
①総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数に応ずる割合
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売業、小売・サービス業以外 | 割合 |
4億円以上(従業員数が35人以下の会社を除きます。) | 5億円以上(従業員数が35人以下の会社を除きます。) | 5億円以上(従業員数が35人以下の会社を除きます。) | 0.90 |
2億円以上(従業員数が20人以下の会社を除きます。) | 2億5,000万円以上(従業員数が20人以下の会社を除きます。) | 2億5,000万円以上(従業員数が20人以下の会社を除きます。) | 0.75 |
7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除きます。) | 4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除きます。) | 5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除きます。) | 0.60 |
②直前期末以前1年間における取引金額に応ずる割合
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売業、小売・サービス業以外 | 割合 |
7億円以上30億円未満 | 5億円以上20億円未満 | 4億円以上15億円未満 | 0.90 |
3億5,000万円以上7億円未満 | 2億5,000万円以上5億円未満 | 2億円以上4億円未満 | 0.価格補正の手法を中心に 75 |
2億円以上3億5,000万円未満 | 6,000万円以上2億5,000万円 | 8,000万円以上2億円未満 | 0.60 |
(3)小会社の株式の評価方法
(4)特定評価会社株式の評価
①土地保有特定会社
土地保有割合(相続税評価額による) | ||||
大会社 | 70%以上 | |||
中会社 | 90%以上 | |||
小会社 | 総資産価額(帳簿価額) | 土地保有割合 (相続税評価額による) | ||
卸売業 | 小売・サービス業 | 却売・小売・サービス業以外 | ||
20億円以上 | 15億円以上 | 70%以上 | ||
20億円未満 7,000万円以上 | 15億円未満 4,000万円以上 | 15億円未満 5,000万円以上 | 90%以上 | |
7,000万円未満 | 4,000万円未満 | 5,000万円未満 | 適用除外 |
【土地保有特定会社の評価方法】
区分 | 評価方法 |
同族株主が取得した株式 | 純資産価額方式 ただし、株式の取得者とその同族関係者の有する持株割合が50%以下であるときは、純資産価額の80%が評価額となります。 |
同族株主以外が取得した株式 | 配当還元方式 ただし、配当還元価額が、上記原則又は特則により評価した価額より高い場合は、上記原則又は特則により評価した価額になります。 |
【資産の組み替えについて】
土地保有特定会社の判定を回避するためには、土地を売却して他の資産に組み替える方法や、会社の組織再編を行い土地の保有割合を引き下げ、土地保有特例会社の判定から外すための対策が行われることがあります。
しかし、課税時期前に合理的な理由がなく、土地の保有割合の引き下げをのみを目的として資産変動が行われた場合には、その資産変動はなかったものとして、土地保有割合の判定が行われることになります。具体的には直前に多額の借入を行う資産の組み替え等が考えられます。
②株式保有特定会社
課税時期における評価会社の総資産に占める株式・出資の価額の合計の割合が50%以上である会社を「株式保有特定会社」といいます。
株式保有特定会社の判定となる株式等は、上場・非上場、所有期間、所有目的を問いません。また出資金、新株予約権付社債も含まれます。
該当するもの | 証券会社が保有する商品としての株式 外国株式 株式制のゴルフ会員権 新株予約権付社債 |
該当しないもの | 匿名組合の出資 証券投資信託の受益証券 |
【株式保有特定会社の評価方法】
原則として純資産価額方式により評価することとされています。
ただし、純資産価額方式に代えて、「S1+S2」方式とよばれる類似業種比準方式を修正した評価方式により評価をすることもできます。
「S1+S2」のうち「S2」は、会社が保有する株式等に相当する部分の価額をいい、純資産価額方式により評価されます。「S1」は、会社が保有する株式等やその株式等に係る配当金を除外した上で会社規模に応じた原則的評価方式である類似業種比準方式、純資産価額方式またはその併用方式により評価した金額となります。このS1の金額とS2の金額の合計額が、「S1+S2」方式による評価額となります。
株式保有特定会社に該当すると、株式評価において純資産価額の占めるウエイトが高くなるため、含み益のある株式を多数保有している場合は株価が高額になるおそれがあります。
区分 | 評価方法 | |
同族株主が取得した株式 | 原則 | 純資産価額方式 ただし、株式の取得者とその同族関係者の有する持株割合が50%以下であるときは、純資産価額の80%が評価額となります。 |
特例 | S1+S2方式 | |
同族株主以外が取得した株式 | 配当還元方式 ただし、配当還元価額が、上記原則又は特則により評価した価額より高い場合は、上記原則又は特則により評価した価額になります。 |
【資産の組み替えについて】
株式保有特定会社の判定を回避するためには、株式等を売却して他の資産に組み替える方法や、会社の組織再編を行い株式の保有割合を引き下げ、株式保有特例会社に該当しないようにすることを考えられます。
しかし、課税時期前に合理的な理由がなく、土地の保有割合の引き下げをのみを目的として資産変動が行われた場合には、その資産変動はなかったものとして、株式等保有割合の判定が行われることになります。具体的には直前に多額の借入を行う資産の組み替え等が考えられます。
③比準要素数1の会社
★直近基準の判定
配当⇒ゼロ
利益⇒ゼロ(直近、2期前ともにマイナスのため)
純資産⇒100
∴ 配当と利益がゼロのため2つ以上の金額がゼロに該当
★2期前基準の判定
配当⇒ゼロ
利益⇒50(△500と600の平均)
純資産⇒300
∴ 配当はゼロだが、利益と純資産がプラス
結論⇒直前前期はいずれか2つ以上の金額が0ではないため比準要素1の会社に該当しない
比準要素数1の会社は、類似業種比準価額で評価する際に、適正な評価をすることが出来ないため、特別な評価方式により評価します。
しかし、株式保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社や開業前または休業・清算中の会社に該当する場合は比準要素数1の会社には含まれません。
比準要素数0の会社は、別途規定が設けられています。
相続税と路線価|路線価方式による土地の評価方法、路線価図の見方、相続税評価額の計算方法【税理士監修】 更新日: 2022年6月8日
引用:奥行価格補正率表|国税庁
側方路線影響加算
正面と側方が路線に面する土地は、利便性が増すため評価額が上がります。このため、正面の路線価に応じた価格に、側方の路線による評価をプラスします。
側方路線影響加算率表
地区区分 | 加算率 | |
---|---|---|
角地の場合 | 準角地の場合 | |
ビル街地区 | 0.07 | 0.03 |
高度商業地区 繁華街地区 | 0.10 | 0.05 |
普通商業・併用住宅地区 | 0.08 | 0.04 |
普通住宅地区 中小工場地区 | 0.03 | 0.02 |
大工場地区 | 0.02 | 0.01 |
二方路線影響加算
正面と側方に路線がある場合と同様に、正面と裏面に路線がある土地も評価は高くなります。2つの路線のうち、路線価が高い方が正面となります。正面が決まったら次の計算を行います。
二方路線影響加算率表
地区区分 | 加算率 |
---|---|
ビル街地区 | 0.03 |
高度商業地区 繁華街地区 | 0.07 |
普通商業・併用住宅地区 | 0.05 |
普通住宅地区 中小工場地区 大工場地区 | 0.02 |
間口狭小補正
路線に接する間口が狭い土地は利用価値が下がるため、評価減を行います。
間口狭小補正率表
間口距離(m) | 地区区分 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ビル街地区 | 高度商業地区 | 繁華街地区 | 普通商業・ 併用住宅地区 | 普通住宅地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 | |
4未満 | – | 0.85 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.80 | 0.80 |
4以上6未満 | – | 0.94 | 1.00 | 0.97 | 0.価格補正の手法を中心に 94 | 0.85 | o.85 |
6以上8未満 | – | 0.97 | 1.00 | 0.97 | 0.90 | 0.90 | |
8以上10未満 | 0.95 | 1.00 | 1.00 | 0.95 | 0.95 | ||
10以上16未満 | 0.97 | 1.00 | 0.97 | ||||
16以上22未満 | 0.98 | 0.98 | |||||
22以上28未満 | 0.99 | 0.99 | |||||
28以上 | 1.00 | 1.00 |
奥行長大補正
いわゆる「うなぎの寝床」のような細長い土地も、利用用途が限られるため評価額が下がります。
奥行長大補正率表
奥行距離÷間口距離 | 地区区分 | ||||
---|---|---|---|---|---|
ビル街地区 | 高度商業地区 繁華街地区 普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 | |
2以上3未満 | 1.00 | 1 | 0.98 | 1 | 1.00 |
3以上4未満 | 価格補正の手法を中心に0.99 | 0.96 | 0.99 | ||
4以上5未満 | 0.98 | 0.94 | 0.98 | ||
5以上6未満 | 0.96 | 0.92 | 0.96 | ||
6以上7未満 | 0.94 | 0.90 | 価格補正の手法を中心に0.94 | ||
7以上8未満 | 0.92 | 0.92 | |||
8以上 | 0.90 | 0.90 |
間口が狭く細長い土地は間口狭小補正と奥行長大補正を併用することが可能で、次の計算式で算出することができます。
がけ地補正
土地の一部ががけになっているとその部分は通常の用途で使えないため、評価減を行います。がけ地補正率は、がけになっている部分の面積が総面積に占める割合とがけがある方角により変わり、次の計算式を用います。
がけ地地積÷総地積 | 地区区分 | |||
---|---|---|---|---|
南 | 東 | 西 | 北 | |
0.10以上0.20未満 | 0.96 | 0.95 | 0.94 | 0.93 |
0.20以上0.30未満 | 0.92 | 0.価格補正の手法を中心に 91 | 0.90 | 0.88 |
0.30以上0.40未満 | 0.88 | 0.87 | 0.86 | 0.83 |
0.40以上0.50未満 | 0.85 | 0.84 | 0.82 | 0.78 |
0.50以上0.60未満 | 0.82 | 0.81 | 0.78 | 0.73 |
0.60以上0.70未満 | 0.価格補正の手法を中心に 79 | 0.77 | 0.74 | 0.68 |
0.70以上0.80未満 | 0.76 | 0.74 | 0.70 | 0.63 | 価格補正の手法を中心に
0.80以上0.90未満 | 0.73 | 0.70 | 0.66 | 0.58 |
0.90以上 | 0.70 | 0.価格補正の手法を中心に 65 | 0.60 | 0.53 |
不整形地補正
同じ面積であれば正方形に近いほど利用価値が高いため、土地の形が三角形などの不整形地は評価減を行います。
無道路地補正
道路に面していない土地を無道路地といいます。実際には隣接する土地を通行させてもらうため利用することは可能ですが、建物を新たに建てることや、既存の建物を壊して建て直すことができないなど、利用が制限されるため評価額が下がります。
①無道路地から建築基準法上の道路に面するように通路を開設すると仮定する
②無道路地と道路に面している前面宅地を1つの土地として評価し、奥行価格補正を行う
③②から前面宅地の奥行価格補正後の価額を差し引いて不整形地補正などを行い、不整形地補正後の評価額を求める
④不整形地補正後の評価額から、①で仮定した通路部分の価額を差し引く
マンションの相続税の計算法を解説|評価の方法や特例など
(引用:財産評価基準書|国税庁)
建物の相続税評価額
マンションの建物自体の 相続税評価額 は、 固定資産税評価額と同じ 価格補正の手法を中心に です。土地の場合と異なり、通常、マンション各戸の固定資産税評価額は事前に算出されていますので、基本的には細かい計算なしに確認することが可能です。確認する方法は以下の節にてご紹介します。
固定資産税評価額の確認方法
課税証明書を見る
毎年、固定資産の所有者宛に、市区町村や都税事務所から固定資産税の 納税通知書 が送られてきますが、こちらの書類に記載されています。『平成〇年度 固定資産税・都市計画税 課税明細書』という明細書が同封されてきますので、確認しましょう。
地域によって表記は違う可能性がありますが、『 家屋の所在 』という欄にある以下の内容を見てみてください。
- 『価格』欄:マンション全体の建物の固定資産税評価額
- 『固定資産課税標準額』欄:マンション各戸の建物の固定資産税評価額
相続に関する控除
相続税における基礎控除は 3,000万円+600万円×法定相続人の数 です。
たとえば、9,000万円の財産を3人の兄弟で相続した場合、税金がかかる財産は【9,000万円-(3,000万円+600万円×3人)=4,200万円】となります。
配偶者控除
-
価格補正の手法を中心に
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額 (※)
子供の人数や親戚の人数などを加味して決められる『 相続するのに妥当な額 』。例えば、子供と配偶者の2人で8,000万円の財産を相続する場合は『子供:2分の1|配偶者:2分の1』なので、法定相続分相当額は『子供:4,000万円|配偶者:4,000万円』となります。
小規模宅地の特例
<相続の開始の日が「平成27年1月1日以後」の場合>
<相続の開始の日が「平成26年12月31日まで」の場合>
(引用:小規模宅地の特例|国税庁)
固定資産証明書を取得する
都税事務所や市区町村役場で固定資産の金額が記載されている『 固定資産評価証明書 』を取得して確認することもできます。
マンションの相続が節税につながる理由
不動産に関しての相続税が安くなるから
路線価や固定資産評価額は、 実勢価格(建物の実際の価格)の60%~80%ほど になりますので、同じ金額で考えた場合、現金よりも不動産で相続する方が、税金が安くなります。
土地の相続税評価方法と評価減
全国の路線価は毎年7月1日に発表されます。一方、相続税申告において適用する路線価は、相続開始日の属する年の数値を利用します。そのため、 1月〜6月の間に相続が発生した場合、7月1日に路線価が発表されるまでその年の路線価は確定せず、申告もできない ということになります。相続税の申告期限は死亡日の翌日から10ヶ月以内のため、1月に相続が発生した場合、路線価が発表されてから4ヶ月以内に申告する必要があります。
路線価の付されていない土地の場合
- 旗状地として評価する方法
- 特定路線価を設定する方法
倍率方式による土地の相続税評価方法
倍率方式による計算式
土地の評価減
税理士法人ブライト相続(東京目黒)では、税理士一人ひとりが、これまで300回以上の土地評価の実務経験があり、実家(一軒家やマンション)、賃貸物件(一室や一棟)、別荘、投資用不動産、複数不動産の相続など、あらゆる物件の相続税評価に精通しています。
加えて、我々相続税専門の税理士事務所では、専用ソフトを活用して効率的かつ効果的に評価を行っています。例えば、不整形地の評価に際し、陰地名人ソフトを利用することで、容易にパターンを変えて想定整形地を作図し、蔭地割合の計算を行えます。そして、図面と計算結果を出力し、税務署への添付資料として提出することで説得力ある資料となります。
他にも、税理士向けZenrin GISパッケージソフトを活用した住宅地図、ブルーマップ、路線価、用途地域、衛生画像の一括確認による効率化を行っています。
自宅が旗状になっている場合
自宅に入るための路線価に面している通路がある敷地を旗竿地と言います。
この旗竿地は、通路があるため、通常の宅地より奥行が長くなり、奥行価格補正によって評価減できます。
また、対象地とかげ地を含めた全体の奥行価格補正率よりも、かげ地部分のみの奥行補正価格率が大きい場合、かげ地と対象地を含めた全体の評価額(奥行価格補正考慮済)からかげ地の評価額を差し引いた評価額(奥行価格補正考慮済)によって求めた路線価格を元に評価を行うことが可能です。これにより、3割以上も減価されることもあります。さらに、通路部分の幅が2m未満の場合、接道要件を満たさず、無道路地に該当し、さらに減価が可能となります。
マンションの地積規模
平成30年1月1日の税制改正によって、要件を満たせばマンションの敷地にも「地積規模の大きな宅地の評価」を適用することが可能になりました。
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価することで評価減が可能になります。
なお、東京都23区内は指定容積率300%以上の場合は適用できないため、通常、タワーマンションは対象外となりますが、中低層のマンションは適用を受けられることもありますので、必ずチェックが必要です。
タワーマンション節税についての詳細はこちら
固定資産税はいくら?計算方法と「戸建て・マンション」などによる違い
課税標準額とは、1月1日現在において固定資産課税台帳に登録された価格であり、住宅用の場合は「土地」と「家屋」に分けて考えます。
土地の場合は土地の用途や立地等を加味して国が決定した「路線価」を基に、土地の状況などを含め各土地ごとに算出した評価額を用います。この評価額に、各種特例措置を適用して課税標準額が決定されます。 価格補正の手法を中心に
家屋の場合は 「再建築価格×経年減点補正率=評価額」 という計算式により求められます。再建築価格方式とは、その家屋と全く同じものをもう一度建てた時にかかる建築費を指し、経年減点補正率とは使用年数ごとに下がっていく家屋の価値の減少率を示します。
この評価額に各種特例措置を適用したものが家屋の課税標準額となります。
なお、評価額は原則として3年に1度、全ての固定資産について評価替えが行われます。
税率については 23区内であれば1.4%で統一 されていますが、自治体によっては超過税率として1.4%を超える税率を設定している場合がありますのでご注意ください。
固定資産税の支払い時期
支払い期限は、
■1期分 6月末
■2期分 9月末
■3期分 12月末
■4期分 2月末
となります。
支払いは、
■市区町村・郵便局・金融機関・コンビニ
■口座振替による自動支払い
■ATM・ネットバンキングのペイジー
■クレジットカード
などが選べます。
固定資産税が軽減される条件とは?
固定資産税はさきほどの計算式で計算されますが、住宅取得を促進するといった住宅政策に資する見地等から、税負担を大幅に軽減する 特例措置 が設けられています。
詳細は「【FPが解説】固定資産税が軽減されるための条件と、控除の手続きの仕方」を参照していただきたいと思いますが、ここでは主な制度の概要を、簡単にご説明します。
住宅用地の特例措置
新築住宅の特例措置
令和4年3月31日までに新築された住宅が床面積要件を満たす場合には、新たに課税される年度から3年間は、固定資産税が 2分の1に減額 されます。
さらに、中高層耐火建築物の要件を満たす場合には対象期間が5年度分に延長されます。
その他、新築物件を対象にした認定長期優良住宅、中古物件を対象にした耐震改修、バリアフリー改修に伴う特例措置があります。
中古住宅の特例措置
固定資産税と合わせて課税される「都市計画税」
都市計画税は、市街化区域内に所在する土地と建物の所有者に課せられる税金です。
固定資産税と同じく、毎年1月1日現在で決まります。
市街化区域とは都市計画区域における区分のひとつで、市街地や公共施設に対し積極的に整備・開発を行っていく区域です。
都市計画税は、市区町村が行う都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てられます。
人気の街で検証!物件による固定資産税額の違い
それではここから、様々なランキングで人気の街としてよく上位にあがる「世田谷区」の、3つのとある街を例に、固定資産税を実際に試算してみたいと思います。
(前提)土地…70㎡
家屋…木造2階建て、90㎡、戸建て、新築、固定資産税10万円
このように、同じ区内であっても大きく違いはあります。
家屋についてはどの程度の広さで、どのような資材・設備を使用するかでも税額は変わります。また土地についても、すぐ近くの土地であっても、土地の形状や道路の状況などによって価格(路線価)は様々ですので、興味をお持ちの場合は一度お調べになることをお勧めします。
都税事務所、都立中央図書館の他、主税局HP(https://www.tax.metro.tokyo.jp/map/)でも路線価の閲覧が可能となっていますのでご利用ください。
なお、地方税である固定資産税の基となる路線価は、国税である 相続税や贈与税の基となる路線価とは異なります ので、ご注意ください。
戸建て・マンション、新築・中古で固定資産税を比較してみた
次に、同じく世田谷区で「戸建てやマンション、新築・中古」で固定資産税を比較してみましょう。どのくらいの違いがあるのでしょうか。
【前提】
・戸建ては木造(耐用年数35年)、マンションは鉄筋コンクリート造(耐用年数60年)
・中古物件は、築10年の時点で購入
新築物件の場合は戸建ての方が固定資産税は安い!
戸建てを購入する場合には、「土地と家屋をそれぞれ購入したのだ」、ということがなんとなく意識できると思います。一方、マンションの場合には、「建物部分を購入した」ということは明確に感じられますが、「土地部分を購入した」という意識を持つ方は少ないかも知れませんね。
しかし、マンションも土地(敷地権ないし敷地利用権)及び建物(専用部分)で構成されるため、マンションを購入した場合も、当然土地と建物を一括して購入したことになります。
上記の表をご覧いただくと分かるように、マンションより戸建ての方が固定資産税は少なくなります。
その理由は、戸建てとマンションを比較した場合に、購入価格に占める土地と建物の比率が大きく異なってくるからです。
マンションでは、 敷地面積を戸数で割ったもの が土地の所有区分となるため、土地よりも建物の価格の方が、購入金額に占める割合が高くなります。
一般的に物件価格を10とした場合、 戸建ては土地7、建物3 という比率であるのに対して、 マンションの場合はその逆の土地3、建物7 といった比率になります。
先ほどの特例措置を含め比較すると、建物に対する割合(1/2)より住宅1戸当たり200㎡以下の土地に対する割合(1/6)の方が大きくなっています。
このため、新築で比較すると、一般に購入金額に占める土地の割合が大きい戸建ての方が固定資産税が低く抑えられるのです。
また、建物の耐用年数は木造の戸建ての場合には 価格補正の手法を中心に 15年~35年 で設定されているのに対し、鉄筋コンクリート造のマンションの場合には 60年 で設定されているため、マンションの方が建物の価値が減りにくく、結果的に固定資産税の高い状態が続きます。先ほどの計算例でも25年後の固定資産税を比較していただくと一目瞭然です。
なお、中古住宅の初年度と25年後を比較すると、戸建て・マンションとも経年減点補正により税額が3,4割下がっている一方、新築では新築住宅の特例がなくなる影響が大きく、25年後の経年減点補正を加味しても戸建てでは16%減に止まり、マンションでは1.2%増となっています。
通常の新築の場合には4年目に住宅部分の税額が2倍になるため、この点もあらかじめ資金計画に織り込んでおく必要があります。
高層マンションを購入するなら、中古の高層階が狙い目
これまで高層マンションは、相続税の節税対策に有効だと言われてきました。
相続税等を計算する際に用いられる固定資産税評価額は、同マンション内で専有床面積が同じであれば階層に関係なく同額になる一方で、実際の販売価格は低層階よりも高層階の方が高いのが現状です。
この評価額と販売価格の乖離を利用し「高層階の税額が相対的に低くなること」に目を付けた富裕層向けの節税対策として広まっています。
近年ではこの節税対策が、行き過ぎた租税回避事例として問題視されるケースが増え、総務省は平成29年度の税制改正において固定資産税の計算にあたり階層別の補正率を定め、高層階ほど税額が高く、低層階ほど税額が低くなるよう計算方法を改めました。
従来のマンションの固定資産税は、1棟全体の税額等を算定したうえで、床面積の割合に応じて各戸の税額を算出していました。従って階層の上下に関係なく床面積が同じなら同じ税額となっていましたので、今回の改正により高層階で約5%の増税、低層階で約5%の減税となります。
改正前後による固定資産税額の違いを計算例で見ると以下のようになります。
・50階建ての高層マンションで、すべて居住用とする。
・各階の各住居の専有床面積は同一とする。
・改正前の固定資産税額は全戸15万円とする。
50階の住居の固定資産税額=15万円×105.9%=158,800円
1階の住居の固定資産税額=15万円×94.1%=141,100円
なおこの改正は、 平成29年1月2日以降に完成する 高さ60mを超える高層マンション (平成29年4月1日前に売買契約が締結されたものを除く)が対象となります。
それ以前に完成した中古マンションは今後購入した場合であっても、固定資産税評価額及び固定資産税は従来のままになるため、中古高層マンションの高層階は固定資産税が有利な物件として価値が上がるかもしれません。
まとめと今後の動向
また、前半で説明した住宅用地の特例措置については、平成27年度の税制改正で、空き家等対策の推進に関する特別措置の対象となった 特定空家 等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税の課税標準の特例措置から 除外する こととされました。
つまり適正な管理がされていない空き家に対しては固定資産税の大幅な増税が出来るようになったのです。
今までは空き家を解体すると土地の固定資産税が上がってしまうため、解体せずに放置していた所有者もいらっしゃるかと思われますが、今後は適正管理を行うか、解体するか、活用するかの選択を迫られることになりそうです。
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